2007-02-22

内部統制まずは我が身 ―特需狙う情報各社、絶えぬ契約トラブル

今朝の日経産業新聞より。

監査先企業の相次ぐ不正会計を受け、みすず監査法人が7月に実質解体する。内部統制ルールが2008年度から始まるなど、会計の透明化が企業の存続を左右する時代に入る。対策には情報システムによる業務管理が不可欠で、情報業界は特需に期待する。だが同業界では、今も不透明な取引による契約トラブルが後を絶たない。まず自らの禊(みそ)ぎを済ませないと、社会の信任を大きく損なう恐れがある。

(「内部統制まずは我が身 ―特需狙う情報各社、絶えぬ契約トラブル」日経産業新聞 2007/2/22)

国内で内部統制に関連したIT投資規模は今年2,500億円と2006年比2.5倍を予測。今後数年間は同水準の投資規模が続く見通しだという。そんなJ-SOX特需に沸くIT業界であるが、契約に関し情報業界特有の内部統制リスクを抱えている、という内容です。記事をご覧になっていない方が多いかと思いますので、以下にサマリを記します。詳細は紙面をご確認ください。

・ヘラクレス上場でシステム開発のイーシステムが、システム開発大手のTIS相手に起こした損害賠償請求訴訟で、原告請求棄却の判決が出た。高額な契約を結ぶ権限のない社員が無断でソフトの売買契約を結んだとして、TISが一方的に契約を解除したことに対し、イーシステムが不服として損害賠償を求めていた。

・ヘラクレス上場のソフト開発会社、デジタルデザインは、日本IBMやネットワーク機器販売のネットマークスなどに対して損害賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。このケースもやはり、社員の勝手な行動が問題になっている。

・トラブルの背景には「スルー取引」という情報業界特有の構造がある。実際にソフトを受け渡しする情報企業2社の中間に、取引に必要のない情報企業を挟ませ、伝票のみ仲介させるやり方である。違法ではないが問題視されている。

・情報システム構築時に結ぶ「一括計上」という不透明な契約も問題である。

・現状打開に向けた動きもある。日本公認会計士協会や財団法人財務会計基準機構などが、ソフト取引の収益計上方法など会計監査の厳格化を求めるガイドラインを作成。情報各社もシステム構築内容を詳細に管理する動きは出始めている。

・内部統制は、文書で明記するなど業務プロセスの「見える化」が対策の根幹である。特需を取り込もうと意気込む情報各社にとっては、契約の透明化など自分たちの業界を「見える化」することが急務である。