2007-02-05

膨大な文書化 企業四苦八苦 不正会計防止「日本版SOX法」まで1年余

昨日の産経新聞大阪朝刊より。

関西各社のJ-SOX法への対応について、対応に苦労する企業側と、特需に沸くIT業界側の両面から取り組みの状況が紹介されています。以下にサマリを記します。

・グルメ杵屋は、社内の契約書類の電子化や全店にセキュリティー機能の高いパソコンを配置するなど、ITシステムを全面的に見直した場合、億円単位の出費になるという。
・コクヨは17年末、子会社1社で試験的に内部統制を導入。そのために、持ち株会社や対象の子会社に専従の社員を配置。「それだけでも5,000万円ほどコストがかかった」という。
・一方、IT業界にとっては新制度は特需となる。民間調査会社IDCジャパンによると、日本版SOX法関連のIT需要は、20年には約2,600億円に達すると予測されている。
・NECネクサソリューションズ関西支社は、昨年2月から内部統制を説明するセミナーをスタート、NEC製システムをPRしている。
・NTT西日本も昨年12月、SOX対応システムを開発。価格は1,000万円前後で「コンサルタント会社と契約して準備した場合と比べ、格段に安いはず」という。 同社の営業エリアにある上場企業は約980社。そのうち、売り上げ規模をみると、約70%が500億円以下。「既存のシステムは売り上げ規模が1,000億円以上の企業でないと、導入が難しいものが多い。うちのは、中堅、中小企業に向いている。セールスを強化する」と強調した。
・日本版SOX法に対しては、資金負担の重さもあって、企業間で対応に差が出る可能性も指摘されている。中堅・中小企業の理解はまだ低い。「詳しい解説を待っていては準備が進まない。見切り発車で必要のないことまで準備するような無駄もできない」というのが大半である。
・大手は着々と準備を進めている。大丸は17年秋に専門チームを設置。昨春からは、本社と心斎橋店をモデル事業体として内部統制の仕組みを取り入れた。米国のSOX法を手本として先行実施した。「試行でさまざまな課題が明らかになった。今年は仕上げていく」とする。


ライブドアやカネボウなどの粉飾決算事件が相次ぐなか、不正会計防止のため企業内での管理と自己点検を義務付ける「内部統制報告制度」(日本版SOX法)が、平成20年度から全上場企業を対象に始まる。スタートまで1年数カ月。関西各社も対応を急いでいるが、膨大な準備作業に四苦八苦する様子も見える。

(「膨大な文書化 企業四苦八苦 不正会計防止『日本版SOX法』まで1年余」産経新聞 2007/2/4 大阪朝刊)