2007-01-26

内部統制ルール、米、「緩和」へ新指針、有識者に聞く ―企業の監査コスト減らず。

今朝の日本経済新聞朝刊の19面より。先月公表された米国SOX法の適用基準を緩和する指針について、米国SOX法研究の第一人者と、米国SOX法の導入に尽力した中心人物の一人に対し、インタビューをしています。内容を一部引用します。詳細は紙面をご確認ください。

―新指針への評価が分かれている。
「(重要事実に関連したリスクに注目する)リスク・アプローチなどは評価できる。何でもかんでも書類にする煩雑さから企業は解放される。だが、全体的に見ると改正指針は明確性・具体性に欠く。改善不足ではないか。『中の下』の評価だ。米証券取引委員会(SEC)が嫌々緩和したことがよく分かる」
―新たな監査基準の記載事項が大幅に減っている。
「どのような企業活動が駄目でどれがよいのかを具体的に示してくれないと経営者は戸惑う。ルールの対象となる企業活動の定義がまだ明確でないため、上場企業の監査コストは減らないだろう。一層、訴訟リスクが高まった可能性もある」
―内部統制ルールの監査基準緩和で投資家保護が後退しないか。
「米企業改革法のおかげで、情報開示、企業統治、法執行システム、監査法人や弁護士の役割などが成立前に比べて飛躍的に改善した。基準緩和は企業統治が改善してきた現状に合わせた適切な調整で、企業統治の後退ではない」

(日本経済新聞 2007/1/26朝刊)


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